FOMC(連邦公開市場委員会)は、アメリカの金融政策を決定する重要な機関です。そこで決定される金融政策は世界のマーケットに影響を与えるため、重要な指標として世界中の市場関係者が注目しています。
FOMCにはどのような役割があるのでしょうか。為替や株式などの金融市場に与える影響も併せて見ていきましょう。
FOMCとは、概要や成り立ち
FOMCとは、Federal Open Market Committeeの略で、アメリカの金融政策を決定する会合のことを指します。
FRB(Federal Reserve Board=連邦準備制度理事会)が年8回開催し、メンバーはFRB理事7名と、ニューヨーク連邦準備銀行総裁1名、地区連邦準備銀行4行の総裁4名の計12名で構成されています。日本でいえば「日銀金融政策決定会合」に相当する会合です。
FOMCの主な役割は次の通りです。
- 現在の景気判断をもとに政策金利(FF金利)の引き上げ、引き下げまたは現状維持の方針を決定する(FF=Federal Funds[フェデラル・ファンド])
- 金融政策である公開市場操作(中央銀行が通貨量の市場流通量を調節すること)の方針を決定する
景気の動向を見極めながら政策運営を行いますので、FOMCの動きを予測するためには、経済指標のチェックも欠かせません。景気の動向を判断する上で重要な経済指標といわれているのが、「雇用統計」「消費者物価指数(CPI)」「小売売上高」「PCEデフレータ(個人消費の物価動向を示す指標)」です。中でも雇用統計は為替・株式市場に大きな影響を与える指標として投資家が重要視しています。
FOMCが為替市場に与える影響にはどのようなものがある?
FOMCの結果が為替市場に与える影響は大きいものがあります。ドルと円の関係でいえば、利上げになればドルと円の金利差が拡大することになるので、通常はドル高に向かいます。利下げの場合はその逆の結果になります。為替相場は投機的な動きで乱高下する場合もあるため、現状維持と思っていたものが利下げされたというようなサプライズ(各種政策等の変更)には注意が必要です。
一方、株式市場は利下げになると企業の設備投資などにかかる資金調達コストが下がるため、企業業績の向上期待から株価は上昇に転じる場合が多いといえます。債券の金利も低下するため、債券市場から株式市場に資金をシフトする投資家が増えることも株高の要因となります。
日本の株式市場は米国市場の動きに連動する性質がありますので、米国株式市場が上がれば、日本市場にもプラスに働くことが多くあります。
FOMCの開催スケジュールなど、影響把握のためのポイント
FOMCの開催スケジュールを把握することは、投資戦略において極めて重要です。次のFOMCで利上げや利下げが行われるかどうかによって為替市場の動きが左右されるからです。FOMCの開催は原則として年8回ですので、約1ヵ月半に一度のサイクルで行われます。毎回政策金利が変更されるということはないので、利上げ・利下げは年数回程度と考えればよいでしょう。
金利変更の見通しなどについては、FRB議長の発言をもとに経済レポートなどで随時予測記事が発表されます。利下げの意向を持ちながらも今回は見送りになったという場合は、次回や次々回に実施する確率が高まることになります。
2019年の例でいえば、利下げの可能性を示唆しながらも現状維持が続きましたが、7月になって0.25%の利下げに踏み切っています。これは世界的な経済成長鈍化や米中貿易摩擦の影響を考慮した「リスク管理的な視点に立った保険的な利下げ」とFRBパウエル議長が述べています。パウエル議長は同時に「利下げは」とも発言しており、その通り9月に再び0.25%の利下げを実施しています。
7月のパウエル議長の発言を注意深くチェックしていれば、その後の東京株式市場の急騰を予測して、先回り買いができたかもしれません。投資で成功を収めるためには、為替と株式の両市場に影響を与えるFRB要人の発言や、FOMCの動向にも注意深く目を向けておく必要があるでしょう。
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