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投稿日:2018/06/14 最終更新日:2024/04/23

投資信託で成功するために最も大事なこと

(写真=Yunus Malik/Shutterstock.com)

資産形成の有用なツールとして多くの投資家が利用している投資信託。この投資信託で成功するために最も大事なことをご存知でしょうか。それは「資産運用に対する姿勢」を決めることです。

資産運用に対する姿勢とは

資産運用に対する姿勢には、大きく分けると2つの考え方があります。一つは「短期売買」。もう一つは「長期投資」です。

「短期売買」とは、数カ月や1~2年という短期間で相場の浮き沈みのタイミングを予想して売買する手法のこと。たとえば、金融機関などで市場見通しをもとに金融商品を勧められた場合は、この「短期売買」の考え方に近しいアドバイスといえるでしょう。しかし、短期的な価格の変動は、投資対象資産の本質的な価値の変化というよりも、市場に参加している投資家の心理(悲観と楽観)にもとづく需要と供給のバランスで動くものです(グラフの赤線)。この動きを予測するのは、運用のプロでも難しいといわれています。

一方、「長期投資」とは、文字通り長く投資を続けること。投資信託は、株式、債券、リート(不動産)と様々な資産に投資しますが、いずれの市場も短期的に価格が上下に動きながら、長期的には企業の成長や利子配当収入の積み上げとともに、その本質的な価値は緩やかに上昇するといわれています(グラフの青線)。長期投資とは、この長期的な資産の成長にゆだねる投資方法をいいます。

「資産運用に対する姿勢」を決めるということは、この「短期売買」と「長期投資」のどちらの考え方で資産運用にのぞむのかを定めることにあります。この考え方が定まらずに運用を始めると、いざ市場が動いたときに自分が何をすればよいのかがわからなくなってしまい、無用な売買や非合理的な投資行動を繰り返してしまうのです。

先に述べたとおり、「短期売買」は運用のプロでも難しく、判断に迷うことを考慮すると、資産運用の初心者や市場の予測に自信が持てない(上手くいったことがない)投資家は「長期投資」の姿勢でのぞむのがよいでしょう。

長期投資の運用成果を正しく評価するための考え方

長期投資の姿勢で資産運用を始めたとしましょう。長期投資では何よりも運用を続けることが重要です。しかし、運用を続けていることに対して、心の迷いが生じることがよくあります。たとえば、運用をはじめて数カ月から数年経つけど、なかなか良い結果が出ないとき。何かのきっかけで市場が大きく下がり、新聞やニュースなどで大騒ぎしているときなどです。このようなことが起こると、運用を続けることに不安を感じ、当初決めた長期投資の姿勢が揺らいでしまうことがよくあります。

目先の値動きに惑わされないためには、長期投資における運用成果の正しい見方を知る必要があります。長期投資の運用成果を正しく評価するための2つのキーワードがあります。それは「期待リターン」と「推定リスク」です。

「期待リターン」とは、投資対象資産が長期的にどれくらい成長するかという期待値のこと。いいかえれば、成長の目安といえるでしょう。一方、「推定リスク」とは、投資対象資産が短期的にどれくらい上下に動くかという変動幅のこと。一般的には各資産の過去の値動きなどを目安にしています。長期投資において運用成果を評価するときには、必ずこの2つの数字を目安に考えるとよいでしょう。

たとえば、国内株式の長期の成長である期待リターンは年率5%程度といわれています。この場合、期待通りのリターンが得られたかどうかは、5年、10年といった長い運用期間の成績で判断します。数カ月や1年という短期間の成績で判断するのは尚早です。

では、数カ月や1年という短期間の成績はどう考えれば良いのでしょうか。これは予測できない変動幅、すなわち推定リスクと考えます。国内株式の推定リスクは年率20%程度といわれています。運用の世界では、この数値の2倍にあたる数値の範囲で上下に振れると考えます。つまり、国内株式であれば、長期的には年率5%程度のリターンが期待できますが、短期的には年率±40%の範囲で価格が変動する投資先と考えます。したがって、仮に国内株式の短期間の成績が-10%であったとしても、想定通りの変動幅におさまっていると考え、運用を継続することが重要です。


長期投資は、短期的に上がったり下がったりしながら、ゆるやかに成長していくものです。もし、一時的に大きく下落したときに解約してしまうと、その後の大きな反発を逃すことになり、結果として長期的な成長も得ることもできなくなります。長期投資を続けるためにも、運用成果の正しい考え方を覚えておくとよいでしょう。

吉井 崇裕(よしい たかひろ)
株式会社イデア・ファンド・コンサルティング社長
ファンドアナリストとして、国内約6000本の投資信託を常時分析する。
モーニングスター、三菱アセットブレインズにてファンド・アナリスト、
朝日ライフアセットマネジメントにて販売および運用関連業務に従事。
現在は神奈川県鎌倉市で個人投資家向けに投資助言サービスも行う。

代表的な著書:「はじめての投資信託 (日経文庫)

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