
2016年にフィーベースのサービスをさきがけて立ち上げ、大手の経済新聞やメディアなどに数多く紹介されるFP会社の草分け的存在、GAIA株式会社代表取締役社長の中桐啓貴氏(写真右)。そして、R&Iファンド大賞4年連続最優秀ファンド賞受賞のセゾン投信株式会社代表取締役社長、中野晴啓氏(写真左)。
クロストーク前編ではお二人の出会いのきっかけや、その後共同でさまざまな取組みに携わるに至った共通の価値観が語られました。後編では、それぞれが困難の中で発揮しているリーダーシップや、投資家の方々へのメッセージを聞きました。
先進地域での資産運用のあり方を見て、業界のあり方を模索
インタビュアー:出会いから10年。挫折や苦しさを、お二人はどうやって乗り越えられたのですか?

中桐「毎年、アメリカに視察に行っているんですけど、アメリカの金融業界は行くたびに進化をしている。それを目の当たりにすると、日本はまだまだだと思いますし、悔しさも感じます。でも自分のやっていることが間違っていない、という裏付けになるんです。」
中野「僕も全く同じ感覚です。アメリカの資産運用ははっきり言って、日本の20年先を行っている。だから、日本も20年後にはこうなるんだと思って自分の会社をやっているんです。日本で前例がなくても、アメリカで前例があれば、それは大きな確信、勇気になりますね。」
中桐「リーマンショックなど厳しい時期もありましたが、とにかく信じてやった。」
中野「あの頃は、セミナーやっても誰もこなかったですね。笑
日本の金融業界全体が「売れない」ということで、ピタッと動きが止まっていた感じです。でも、僕らは人がこなくても、アメリカの前例を信じてやり続けた。全く変わらず同じことを同じようにやった結果、今があるんだと思います。今から30年前のアメリカは大きな金融機関が主に資産運用を行っていた。
それが、時代とともに小さくても優秀な独立系運用会社が次々出てきて、その数も増えてきた。リーマンによって大手なら間違いないという神話も完全に崩壊した。
優良な運用会社が力を発揮し、アメリカ経済は底力がついたんです。日本もやがてそうなるのではないでしょうか。」
インタビュアー:これからの日本の金融業界に必要なことは?

中桐「販売手数料で成り立つビジネスから、お客様に預けて頂いた残高に対してフィーをいただくフィーベースのビジネスモデルにする必要があります。
販売手数料で利益をあげはじめると、お客様を見なくなることがあります。収益の面で、必ずしも双方の利害が一致しませんから。一方、残高に対してのフィーであれば双方の利害は一致し、そうはなりにくいでしょう。
正しい情報を正しく伝える。時間もパワーもかかりますが、一人ひとりのお客様と長期で付き合うことができる。それは、自分の代だけでは終わらない。次の世代、その次の世代まで続くんです。いかに長期でお付き合いするか。いかに長期にわたってお互いがWin-Winであり続けられるか。そういう業界に変えていきたいです。」
中野「日本人にはお金の話をするのは、いやらしい、と思うような感覚があるじゃないですか。でも本当はお金の働きや、お金との付き合い方を考えなければ、次の世代まで見越した幸せを実現するのが難しいはずです。
本来は金融機関が説明をせねばならないことですが、販売手数料を利益としている以上、なかなかそのような説明を行ってくれることはないでしょう。私は、この価値観を変える必要があると思っています。
正しい金融教育を日本人は受けるべきでしょうし、僕自身の会社はそういう情報を発信していこうと心がけています。」
インタビュアー:投資家の皆さん、または、これから投資を始める方へ、メッセージを。
中野「新しい人生に挑戦していく。人生をより充実させる。そんな生き方をするために資産運用、投資があります。ぜひ、チャレンジしてみてください。」
中桐「すべてわかってないとやってはダメ、と思われがちですが、やらないとわかりにくいものです。躊躇されている方、まず少額からやってみてください。そして知見を広めていく、ということをお勧めします。」

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自身の信念をもとに、投資家がより良い形でお金に向き合えるようになるための事業を推進してきた二人。今後も投資家の立場に寄り添った情報発信や、取組が続くことへの期待が高まる対談となりました。